GoToトラベルキャンペーン

1.GoToトラベルキャンペーンとは

    全国各地で新型コロナウイルスの感染者増加が懸念される中、国土交通省観光庁主導の下、GoToトラベルキャンペーンが2020年7月22日(水)から開始された。新型コロナウイルスの感染拡大で需要が落ち込んだ旅行需要の平準化のため、主に夏季における休暇の分散取得、並びに有給休暇の積極的取得、観光地やリゾート地で休暇を取りながらテレワークをする働き方を指すワーケーション、いわゆる滞在型観光の促進を図る目的があるという。

    私たち消費者は、国内旅行を対象に、宿泊または日帰り旅行代金の1/2相当額が政府によって支援される。支援額の内、7割は旅行代金の割引に、3割は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与される。一人一泊あたり2万円が上限で、日帰り旅行については1万円が上限とされ、また連泊制限や利用回数の制限はない。

    7月22日以降に開始する旅行代金の割引が、四連休に先立って先行的に開始された。また、22日以降の旅行を既に予約している方々については、旅行後の申請により割引分が還付される。そして27日(月)以降は、旅行業者や予約サイト、宿泊施設の直販予約システムなどにおいて、準備が整った事業者から割引価格での旅行の販売が実施される。

2.観光業と新型コロナウイルス

    しかし、23日(木)からの4連休を前に、全国各地にて新型コロナウイルス感染者数が急激に増加した。特に、23日時点で判明した東京都の感染者数は、366人と過去最大数を記録した。それにより地方各地にて、GoToトラベルキャンペーン実施に対して、中止や延期を求める声が非常に高まった。地方には、都会ほどに医療設備が整っていないところとて数多く存在している。新型コロナウイルス感染患者に対応できる病床数も少ない。感染者数の多い地域からの観光者について、過敏に反応し過ぎることは差別などの人権侵害に繋がりかねない。しかし、地方の実情も切実なのだ。

    そんな反対の声を押し切るような半ば強行突破という形で、GoToトラベルキャンペーンは延期されることなく開始された。しかし、その例外として、東京都が目的地となっている旅行について、東京都内の旅行も含めて、当面Go Toトラベル事業の対象外とするという例外が設けられた。また、東京都に居住する人々の旅行についても同様に、当面Go Toトラベル事業の対象外とされる。東京都民の人口は、現在凡そ1,400万人。同じ納税者に対して不平等ではないかという意見も多く聞かれている。

    この東京都を目的地とする旅行と東京都に在住している人々の旅行について、政府は当初、キャンセル料を支払わないという意向を示していた。しかし、一転して7月10日(金)~17日(金)までの間に予約した旅行者は、キャンセル時にキャンセル料を支払わなくとも良いこととし、キャンセル料を収受しないように旅行業者などに要請された。既にキャンセル料を支払った旅行者は旅行業者等に返金を求めることが可能になった。旅行業者等に実損が生じる場合には、Go Toトラベル事業の事業費から補填されるというが、実損を計上して申請するのはあくまでも事業者である。事業者の負担や手間が増えるばかりか、東京都では未だ感染者数は拡大しており、キャンペーンの再開の目途は立っていない。

    キャンペーン自体の評価は高いが、私たち消費者だけでなく、事業者も右往左往するこの状況に当惑している。

3.今後の不安

    7月21日というキャンペーン開始前日に、ツーリズム産業共同提案体による第一回の「Go Toトラベル事業説明会」が開催された。しかし、その説明会の動画は都合により掲載せず、また追加の説明会は未だ全国で準備中であるという。

    また、消費者に配布されるクーポンの利用可能店舗については、旅行先の土産物店、飲食店、観光施設、交通機関など幅広い業種が対象になり、全国から幅広く募集される。制度の概要や登録手続きは、地域の事業者の十分に理解貰えるように、地域の観光協会や観光地域づくり法人・商工会等を通じて説明される。具体的には、説明会の開催、問合せのための専用コールセンターの設置などを検討中のようだ。

    厚生労働省は、資金繰り支援と併せて第二次補正予算も活用し、医療機関に対する感染拡大防止等の新事業や医療従事者等への慰労金の支援に向けて、鋭意準備を進めているところだという。感染拡大と共に、医療機関の状況は切迫しつつある。

    7月23日(木)~26日(日)の四連休の間に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で閑散としていた観光各地は、それぞれが賑わいを取り戻しつつあった。観光各地や旅行業者は、このGo Toキャンペーンを頼みの綱としている。しかし、今後再び感染者数が増えれば、私たちは否が応でも各々の行動を制限せざるを得ない。

    感染防止と経済。当然、そのどちらもが大切だ。頭ではそう理解していても、両立は困難を極める。誰とも接触せずに生活できるのであれば、皆もちろん外出などしない。しかし、人間はあくまでも共同生活を送る生き物である。

    医療機関に勤める人々の我慢はもちろん、飲食業や運送業、販売業、観光業など、そして一般市民の我慢。このコロナ禍にある私たちの生活は、何かを犠牲にした上で成り立っているに過ぎないと感じざるを得ない。一体、いつまで我慢をすればいいのだろうか。人間と新型コロナウイルスとの長い戦いは、これからも続いていく。

著 ミントチャットレディ ☆ことり☆


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